リガク・ホールディングスのグループ会社である、X線分析装置の世界的ソリューションパートナーの株式会社リガク(本社:東京都昭島市 代表取締役社長:川上 潤、以下「リガク」)は、計3件の特許技術で、令和7年度地方発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)を受賞しました。特別賞の受賞は3年連続となります。
リガクはこの受賞を新たな励みとしてX線技術のさらなる可能性を探求し、分析の現場に革新をもたらすソリューションの創出に取り組み続けます。
【特別賞】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の品質管理に貢献する「合金化溶融亜鉛めっき鋼板の蛍光X線分析」
本発明は、従来よりも正確にめっき層の付着量と組成を分析できる蛍光X線分析技術です。測定深さ※1の違いによる影響を少なくするため、入射角と取出角の異なる2つの光学系を用い、めっき層の全ての深さを分析対象としました。これにより、めっき層全体の組成情報に基づく正確な分析が可能となりました。本発明は、自動車の車体などに用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の品質管理に大きく貢献しています。
※1:分析の際に、サンプルのどのくらいの深さまで情報を得られるかを示す指標

模式図
検出器(橙色)、X線源(水色)、取出角(Ψ)
受賞名:近畿地方発明表彰「大阪発明協会会長賞」
発明名称:「蛍光X線分析装置および方法」(特許第4262734号)
発明者:片岡 由行、古澤 衛一、河野 久征
製品詳細:https://rigaku.com/ja/products/xrf-spectrometers/wdxrf/simultix-15
【発明奨励賞】高アスペクト比の3D-NANDメモリ等の研究開発、品質管理に貢献する「半導体深穴微細構造解析」
半導体デバイスの三次元化にともない、ウェーハ表面には深さ10マイクロメートルほどの微細なパターンが形成されています。この微細パターン形状は、「電気特性」や「動作速度」といった製品性能、また、製造歩留りに影響を及ぼすため、より高精度な計測が求められています。従来は、X線小角散乱のデータを単純な形状モデルに置き換え近似的に解析を行っていました。これに対し、任意の形状を高感度に解析可能な新手法を開発することで、深さに対する大きさや形状の変化、また、傾きや曲がりなどの詳細な解析を実現しました。本発明は高アスペクト比の3D-NAND※2メモリをはじめとする最先端半導体の研究開発やインライン品質管理でグローバルに活用され、製造工程の最適化と歩留まり向上、製品性能の安定化に貢献しています。
※2:立体構造を持つ大容量・高性能を実現した次世代フラッシュメモリ

X-Z断面の比較(a)ウェーハ中央部、(b)ウェーハ端部
受賞名:関東地方発明表彰「発明奨励賞」
発明名称:「微細構造の解析方法、装置およびプログラム」(特許第7100897号)
発明者:伊藤 義泰、表 和彦
製品詳細:https://rigaku.com/ja/products/semiconductor-metrology/cdsaxs/xtraia-cd-3200t
【発明奨励賞】省力化し自由度の高い「X線回折仮想受光スリット」
X線回折法(XRD)では測定時の分解能と強度を調整するために、受光スリット(以下「スリット」)を使用します。従来は目的の分解能を得るためにスリットの幅や高さを物理的に交換・調整する必要がありました。それゆえスリット形状の自由度が低く、交換作業の手間も課題でした。
本発明では、位置分解能をもつ半導体検出器を用い、電気的にデータ取得エリアを選択できるようにしました。これにより従来の物理スリットを超える分解能と強度の両立が可能になり、省力化も実現しています。この結果、多様な測定条件への迅速な対応が可能となり、研究開発や品質管理の現場での利便性が大きく向上しました。

受賞名:関東地方発明表彰「発明奨励賞」
発明名称:「X線解析装置およびX線回折測定方法」(特許第5944369号)
発明者:小林 信太郎、光永 徹、梶芳 功系兆、新井 和良
製品詳細:https://rigaku.com/ja/products/components/detectors/hypix-3000
【リガクグループについて】
リガクグループは、X線分析をコアに熱分析等も含む最先端の分析技術で社会をけん引する技術者集団です。産業・研究用分析のソリューションパートナーとして1951年の創業以来、136の国と地域のお客様と共に成長を続けています。日本国内で極めて高いシェアを誇り、海外売上は約70%に達しています。応用分野は、半導体や電子材料、電池、環境・エネルギーからライフサイエンスまで日々拡大中です。世界で2,000名超の従業員が「視るチカラで、世界を変える」イノベーションの実現に取り組んでいます。詳しくはrigaku-holdings.comをご覧ください。
【リリースに関するお問い合わせ先】
リガク・ホールディングス株式会社 コミュニケーション部
部長 姫野 佐和
TEL: 090-6331-9843 e-mail: prad@rigaku.co.jp