R.Sさんは2020年に新卒入社し、X線研究所で様々な開発業務をソフトとハードの両面から担当されています。自由な発想でアプローチを検討できる今の立場が、手を動かすことが好きな自分に合っているといいます。
これまでの経歴とキャリア
インタビュアー:まず、ご出身について教えてください。
R.Sさん:福島県三春町出身です。三春町は日本三大桜の一つである三春滝桜が有名です。自然豊かで美しいところなので、ぜひ観光にいらしてください。食べ物も美味しいですよ。
インタビュアー:素敵な所ですね。学生時代はどんなことをされていましたか?
R.Sさん:大学院では分子生物学の研究室でタンパク質のX線結晶構造解析を学んでいました。また、課外活動では鳥人間コンテストや飛行ロボットコンテストに参加し、飛行機製作活動に取り組んでいました。研究や課外活動を通して、物理やプログラミング、ものづくり全般を学ぶことができました。とにかく手を動かすことが好きですね。
インタビュアー:もともとリガクを知っていたのでしょうか。
R.Sさん:いいえ、知りませんでした。自分の所属研究室は放射光施設SPring-8でX線の測定をしており、リガクの装置は使用していなかったので。ただ、就活サイトのおすすめ企業一覧の中からリガクを見つけ、X線という馴染み深い分野を扱っている企業であることから興味を持ち、応募しました。採用面接を担当してくださった技術者の方々は皆楽しそうに技術を語って下さり、また私の飛行機製作の話を面白がって聞いて下さったため、面接は大変盛り上がりました。技術が大好きで人柄の良い社員さんが多い雰囲気であったことも、入社の決め手でした。
インタビュアー:入社から現在のお仕事について詳しく教えてください。
R.Sさん:2020年4月に入社してから、現在の部署でX線小角散乱(SAXS)を利用した半導体分野向けの計測装置の開発に取り組んでいます。装置のコアとなる光学系や周辺の機械的な部分、解析ソフトウェアなど幅広い領域において新しい手法を考え、実験を通じて有効性を確認し、実際の製品へ反映させていくことが主な業務です。ソフトもハードも、一番何でもやる部署かもしれませんね。
現在のお仕事とこれからのこと
インタビュアー:具体的にはどんなことをされていますか。
R.Sさん:そうですね。例えば、お客様が現行の装置では計測が難しいサンプルの計測を希望された場合、実験用の装置で光学系を組んで測定を行い、新しい計測の可能性を模索します。解析ソフトも同様に、現行ソフトではできない解析が必要になったら、試作ソフトを書きながら新しい解析方法を検討します。これらの検討を通して新しい手法の有効性が認められたら、他部署へも展開して実際のプロダクトへ反映させていきます。このように、基本的には最初に必要となる試作部分を担当していますが、そのほかに実際にご利用されているお客様からの改善要望や、製品で起きているトラブルに対応するための業務も担当します。
インタビュアー:そういった業務を通して、どのような社会貢献をされているのでしょうか。
R.Sさん:日常的に話題になるAIや自動運転などの情報技術は、半導体デバイスの進歩によって支えられています。半導体デバイスの進歩とは、あえて単純化して言うなら「微細化」なのですが、微細なものを加工するためにはまず微細なものを計測する技術が必要不可欠です。リガクの計測技術によって今まで測れなかったものが測れるようになれば、それはダイレクトに半導体業界の進歩を後押しすることになると思います。
インタビュアー:この仕事の魅力について教えてください。
R.Sさん:自由な発想で試行錯誤できるところが面白いですね。ソフト面でもハード面でも、自分が必要だと思う実験や試作にチャレンジさせてもらえる環境です。「ソフト屋さん」「ハード屋さん」と厳密に分業されていない今の立場は、自分に向いていると感じています。
インタビュアー:仕事で大事にしていることはありますか?
R.Sさん:上司からよく、「サイエンスは嘘をつかない」と言われています。この言葉を胸に、常にサイエンスに誠実であることを心がけています。物理は嘘をつかないから、事実を冷静に見つめること。立ち返るべきはそこだと、日頃から思っています。リガクの装置は、データを出す装置です。リガクのお客様は、そのデータを立脚点として、製品開発・品質管理に取り組まれています。正確なデータが信頼の基盤であり、嘘のない結果を提供することが、私たちの誇りです。そこを忘れてはならないと心に留めています。
インタビュアー:今後取り組みたいことは何ですか?
R.Sさん:これまで測定してきたデータを統計学や機械学習の手法を用いて網羅的に評価し、新しい知見が得られないか挑戦してみたいです。蓄積されたデータから解析手順の一部を自動化できれば、より多くのユーザーが使いやすくなり、計測装置の普及にもつながると考えています。
リガクでの働き方とワークライフバランス
インタビュアー:より多くの人が使える未来、楽しみですね。リガクでの働き方についてもお話いただけますか。在宅勤務はしていますか。
R.Sさん:私は時折、デスクワーク中心の日は在宅勤務をしています。頻度としては1~2週間に1回くらいでしょうか。私の部署は比較的出社が多いですね。装置を触ることが多いのでフルリモートの人はあまりいませんが、コロナ禍後から在宅勤務や時差出勤、1時間単位の有休取得など、働き方の自由度が高まり便利になったと思います。
インタビュアー:お休みの日はどのようにお過ごしですか?
R.Sさん:休日は、同僚や先輩社員さんと月一くらいで山登りに行く緩いサークル活動のようなものをしています。また年始に地域の駅伝大会に出るため、秋頃からはお昼休みに会社の周りを走ったりしています。リガクでは秋になるとお昼休みに走る人が増えてきますよ。けっこう速い方もいます。この話をするとスポーツマンのように思われるかもしれませんが、実態として自由時間の多くはゲームをするなど、PCデスクに座っている時間のほうが長いと思います。
インタビュアー:リガクに入って良かったことを教えてください。
R.Sさん:豊富な知識と経験を持つベテラン社員さんが多く、親身になって相談に乗ってくれることです。ひとことでいうと、本当に「いい人」が多いですね。
インタビュアー:リガクの会社の面白さについては?
R.Sさん:科学技術が好きな人にとって、専門技術に囲まれたリガクの環境は非常に楽しいと思います。社員もお客様も技術者が多いので、共通の話題で盛り上がることが多いです。
インタビュアー:印象に残っているエピソードはありますか?
R.Sさん:研修中に、同期と光学素子について話していたら、ベテラン社員さんがどこからともなく実物の素子と図面を持ってきて説明してくれたことがありました。とても古い装置向けの素子だったのですが、ぱっとすぐに出てくることに驚きました。業務としての後輩指導を超えて、純粋に楽しいから語ってくれるのだと思います。
求職者の方へメッセージ
インタビュアー:最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。
R.Sさん:研究職は人とコミュニケーションを取ることが得意な人、新しいことに挑戦するのが好きな人におすすめの仕事です。研究職はすぐには解決方法が分からない未知の課題に取り組む職種ですので、未知なるものを恐れず、周囲の仲間と協力して課題解決に取り組める人と是非一緒に仕事をしたいなと思います。
一方で、X線装置はX線の専門家だけでは作れません。多様な専門性やバックグラウンドを持つ人が仲間になってもらえると嬉しいです。数学や情報処理、機械や電気のプロなど、学生時代にリガクの装置を使っていなくても、X線のことをまだ全然知らなくても、どんな方にもきっと活躍できる場所がリガクにはあると思います。
2024年9月現在