環境

“捨てない選択”が、制服に新たな命を吹き込む― リガクのアップサイクルストーリー ―

制服が、壁掛け時計やコースターに!?

■壁掛け時計
壁掛け時計

旧制服からつくられた、シンプルで機能美のある時計。
実はその素材、「繊維リサイクルボードPANECO®」です。

■コースター
コースター

大理石のような模様が印象的なコースター。
色味や模様はすべて一点もの─まさに“個性ある再生品”。

■可動式ベンチ
可動式ベンチ

制服から生まれたブロック「Nunock」でできたキャスター付きベンチは、東京工場と山梨工場に設置されています。
見るだけで「へぇ!」と声が出るような変身ぶりです。

■紹介パネル
紹介パネル02

海外のお客様にも伝わるよう、英語での解説付き。プロジェクトの想いを一枚に込めました。

背景にあるのは、「もったいない」気持ちと挑戦心

2023年10月、リガクは職務上の安全確保が求められる場所以外において、就業時の服装を自由化しました。働く人それぞれが、自分らしいスタイルで過ごせる環境づくりを目指した取り組みです。さらに、2024年9月には、作業現場で着用する作業服を、より機能的、快適でスタイリッシュなオリジナルのデザインにリニューアルしました。
使用しなくなった大量の旧制服をそのまま捨てれば廃棄物。しかし長年みんなが働く姿を支えてきたアイテムに、もう一度命を吹き込みたい。

そうして始まったのが、このアップサイクルプロジェクトです。

旧制服
旧制服
新制服
新制服
美しく再生
株式会社ワークスタジオおよびモリリン株式会社と連携し、比較的状態の良い制服や未使用品を、マテリアルリサイクルの手法で繊維リサイクルボードPANECO®ボードとNunockブロックにアップサイクルしました。PANECO®は、サステナブルな素材で繊維廃棄ゼロ、再リサイクルも可能です。
長年親しまれてきた制服に新たな価値を持たせるため、「美しく再生」「ごみを出さずに循環」「環境に配慮した資源回収」をモットーに取り組みました。
制服が新たな姿になるまで

5つのステップで“再生”が実現しました。

1.回収

全国の拠点から使用済みの制服を回収し、美品と汚損品に分別したうえで箱詰め。約2,000枚、52箱分の制服が集まりました。

回収された制服2tトラック1台分
回収された制服2tトラック1台分

2.解体

福祉施設の協力のもと、ファスナーやボタンなどを一つひとつ丁寧に取り外します。
作業はすべて手作業。想いと時間を込めて分別されます。

②解体

3.粉砕

布だけの状態になった制服は、細かく粉砕され、再加工の素材に。

③粉砕

4.成型

粉砕繊維を固めて、PANECO®ボードやNunockブロックに再生。

旧制服加工によりボードを成型する様子
旧制服加工によりボードを成型する様子
加工によりブロックを成型する様子
加工によりブロックを成型する様子

5.活用

社内の各拠点で、新しい姿のアイテムとして活躍しています。コースターは全社員に配布されました。

エネルギーとしても活用

マテリアルリサイクルできない汚れや破損のある制服は、株式会社エコ・マイニングに委託し、サーマルリサイクルの手法でRPF(固形燃料)に再生。
RPFは石炭の代替燃料として工場の熱源や発電用途に使用され、地球温暖化ガス(CO₂)の排出を約33%削減できるとされています。廃棄物を有効活用することで、最終的な埋め立て処分量の削減にもつながります。
“最後まで活かす”という想いが、ここにも込められています。

再生されたRPF
再生されたRPF
社会にも、やさしい循環を
このプロジェクトは、モノだけでなく「人」にもやさしい仕組みです。
回収された制服の解体作業は、回収拠点に隣接する福祉施設と連携して行われました。ファスナーやボタンなどを一つひとつ丁寧に取り外すこの工程は、手作業による繊細な作業です。
作業に関わってくださったのは、障がいがある方々。
「PANECO®」の製造工程の一部作業の福祉施設への委託に加え、アップサイクル製品の売上の一部を福祉施設に毎月寄付することで、「場所」「時間」「業務」「賃金」の4つの軸で、安定した就労機会の提供につなげています。
ものづくりの現場を通じて、人の働く意欲や誇りを支える──
この取り組みには、そんな思いも込められています。
世界とつながるこの一歩
国連環境計画(UNEP)によると、世界では毎年9,200万トンの衣類が捨てられ、そのうち再資源化されるのはわずか8%。
「変えるのは難しい」と言われるこの現状に、私たちなりのアプローチで挑戦しています。
ひらめきから生まれる、リガクらしさ
制服は、ただの布ではなく、「働く人の時間」と「会社の歴史」が詰まったもの。
それを活かすという選択は、私たち自身を見つめ直す機会にもなりました。
ただ捨てるのではなく、
ちょっと面白い“次の使い道”を考えてみる。
その自由な発想が、リガクらしいものづくりの姿勢にもつながっています。
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